職場で孤立してしまうあなたへ ― 和の心が支える生き方

最近の私のお気に入りは、日本を訪れる外国人観光客が、日本の文化や日本人の親切心にリスペクトし、その感動を語ってくれているYouTube動画をみることです。さまざまな国の方々が日本を訪れ、「日本人は謙虚でとても親切だ」と感激しながら話してくれるのを見て、同じ日本人として、とても嬉しい気持ちになります。

電車に乗ったら、周囲に気遣い静かにする。
見知らぬ人が困っていたら、自然に声をかけて親切にする。
嫌な顔をせずに助け合う――
それを自然に行動する日本人の国民性は、いま世界から賞賛されているのです。

けれども、なぜか仕事となると、その日本人の強みを発揮できないというケースが少なくありません。「職場」に入ると、その美徳が影を潜めてしまう。潜在的に持っている「和の心」が、発揮されにくいのはなぜなのでしょうか。

目次

日本人の潜在意識にある「和」

そもそも、私たち日本人は、古来より自然や神々との共生を大切にしてきた国民性があります。神道の世界では、山や川、木々や石にさえ神が宿るとされ、すべての存在を尊びながら生きてきました。身近にある神社は、その地域を守る神様でした。誰もがどこかの神社の氏子であり、鎮守の神様をチームで守り奉っていたのです。

いまも、私たちの身近には『神社』があるでしょう。時代は移り変わっても、変わらないものがそこにある。いまも神社があちこちに鎮座するように、私たち日本人の心にも、「和をもって貴しとなす」という感覚が根付いています。相手を思いやり、協調する心を、どんなときも、どんな場所でも思い起こし、行動することが大事です。

武蔵国総社 大國魂神社。緑のいっぱいの大空へと伸びる鳥居をくぐると“感謝”の気持ちが込み上げる
武蔵国総社 大國魂神社。緑のいっぱいの大空へと伸びる鳥居をくぐると“感謝”の気持ちが込み上げる。

職場に入ると変わる理由

ところで、仕事で職場に入ると、日本人なのに「和の心」がうまく発揮できないということがあります。その背景を探ってみると、こんな理由が思い当たります。

  • 成果主義や評価制度のプレッシャー
  • 「自分が損をしないように」という意識の高まり
  • 忙しさやストレスで「余裕」がなくなる
  • 周囲の人間関係や環境の影響

職場には、さまざまな価値観の人が存在します。なかには、互いに協力するというよりも、個人の成果を優先する行動に走りがちな人もいます。その結果、摩擦や不満が生まれ、職場の空気がギスギスしてしまう…。

大國魂神社 神門。心を切り替え、新しい自分へと一歩を踏み出す瞬間。和の心が静かに背中を押してくれます。
大國魂神社の神門をくぐる。心を切り替え、新しい自分へと一歩を踏み出す瞬間。

和の心が欠けた職場で起こること

和の心が欠けてしまうと、職場には次のような影響が出ます。

  • チームの雰囲気が悪くなる
  • 離職や人間関係のトラブルが増える
  • 本来の力や可能性が活かされない
  • 心身の状態が不安定になる

日本人の潜在的な強みである「協調性」や「思いやり」が十分に発揮されないのはもどかしいことです。しかし、どのような環境下であれ、柔軟に対応しながら、できるだけ円滑なコミュニケーションを心掛けていくことが大事です。

逆境の時こそ試されている

ここで思い出していただきたいのが、神道で大切にされている「利他の心」です。自分の利益よりも他者や社会のために動こうとする心のことです。日本人が古くから大切にしてきた「和の心」の源です。

「おかげさま」という言葉が示すように、人は決して一人で生きているのではなく、周囲の支えの中で成り立っています。そのことを思い出すだけで、仕事の取り組み方や人との関わり方は大きく変わります。

現実の職場では「和」を保つことが簡単ではない場面も多々あります。
意地悪をする人、
マウントを取ろうとする人、
協調を嫌う人、
なぜか自分だけが嫌われているような気がしてしまう――
そうした様々な存在に直面すると、若い人ほど傷つき、職場が嫌になってしまうこともあるかもしれません。

ですが、大切なのは「自分の軸をどう保つか」です。たとえ相手が和を乱す行動をしているとしても、あなたがいつも笑顔や誠意で返すことで、相手の態度が変わっていくこともあります。小さなことのようでいて、実はこれが「和を取り戻す」第一歩になります。

●どんな時も、笑顔で挨拶
●「お手伝いしましょうか?」と声を掛ける」

そんな小さな姿勢を、自分の範囲で続けていく。それは、ちょっと勇気がいることですが、結果として、職場の空気をやわらげ、少しずつ周囲に広がっていきます。「和の心」は、摩擦の中でこそ試され、育まれていくものです。これは特別な理論ではなく、私自身が社会で経験してきたことでもあります。だからこそ、「きっとあなたも大丈夫」。そうお伝えしたいのです。

澄みわたる青空に向かって伸びる屋根。未来への希望は、きっと私たちを支えてくれるはずです。

和の心を胸に、自分らしく成長していこう

私たち日本人は、潜在的に「和の心」を持っています。職場でいえば、「チームへの貢献」や「周囲の人への配慮」「ちょっとした声掛け」など。これら行動は「和の心」があるからこその行動です。

たとえ職場環境が厳しくても、自分の中にある「利他の心」を、いつも思い出してください。できる範囲でいいので、行動に移していくこと。それは小さな一歩かもしれませんが、やがて職場の空気をやわらげます。それが、あなた自身の強みとして、必ず未来を切り拓く強い力へと変わっていきます。

そして、心がちょっと疲れたときは、近くの神社に参拝してみることをお勧めします。日本の神様は困難を乗り越えてその場に鎮座された神様ばかりです。あなたの参拝で、必ずあなたを応援してくださいます。そして、あなたの心身を癒してくださることでしょう。

深くどっしりと根を張り、まっすぐ空へと伸びていくご神木の姿は、“強い軸を持ち、自分らしく成長していく大切さ”を教えてくれます。
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